在留申請オンライン手続きについて

2019年よりスタートした在留申請オンライン手続きですが、更なる利便性の向上及び出入国在留管理局の窓口混雑の緩和等の観点から、2022年3月より新たな制度としての運用が始まりました。今回は、在留申請のオンライン手続きについて解説します。

在留申請オンライン手続きの対象となる申請

在留申請オンライン手続きは,短期滞在ビザからの在留資格変更許可申請や永住許可申請などを除き,ほとんどの申請が対象とされています。具体的には,以下の申請が在留申請オンライン手続きの対象となっています。

対象となる在留資格 (1)入管法別表第一に掲げる在留資格(外交・短期滞在を除く)
(2)日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者
対象となる申請手続き (1)在留資格認定証明書交付申請
(2)在留資格変更許可申請
(3)在留期間更新許可申請
(4)在留資格取得許可申請
(5)就労資格証明書交付申請
(6)※(2)~(4)と同時に行う再入国許可申請
(7)※(2)~(4)と同時に行う資格外活動許可申請
在留申請オンライン手続きの利用が可能な方

➡以下の方が在留申請オンライン手続きの利用が可能になります。

(1)申請人から依頼を受けた所属機関の職員
※所属機関:企業・学校等の教育機関・監理団体等
(2)申請取次資格を有する弁護士・行政書士
(3)申請取次資格を有する公益法人の職員・登録支援機関の職員
※ただし所属機関から依頼を受ける場合のみ在留申請オンライン手続きが可能
(4)申請人である外国人本人
(5)申請人の法定代理人
※申請人が本人が20歳未満の場合の親権者等
(6)申請人の親族(配偶者、子または父母)
※在留資格認定証明書交付申請(招聘)の場合、上記親族が日本に居住している場合に限り、在留申請オンライン手続きが可能になります。
※在留資格変更許可申請、在留資格更新許可申請等の場合、原則申請人本人が16歳未満の場合、または疾病その他の事由により自ら申請できない場合に限り、上記親族の在留申請オンライン手続き利用が可能になります。
在留申請オンライン手続き利用の事前準備

在留申請オンライン手続きには,事前準備の手続きが必要になりますが、在留申請オンライン手続きを利用される方によって、その事前準備の手続きが異なります。

申請人本人である外国人の場合(利用者情報登録)

在留資格の変更や許可申請を行う外国人ご本人の場合、利用者情報登録という手続きが事前に必要になります。利用者情報登録は、オンラインで365日、24時間登録が可能になり、手数料等も必要ありません。この利用者情報登録の際に必要なものは以下の通りになります。

(1)マイナンバーカード
(2)在留カード
(3)パソコン(※スマートフォン不可)
(4)JPKI利用者クライアントソフト(公的個人認証サービスのクライアントソフト)
※JPKI利用者クライアントソフトは、こちらの公的個人認証サービス ポータルサイトからダウンロードできます。
(5)ICカードリーダライタ
※利用者情報登録のためにはマイナンバーカードの読み取りが必要になるため、マイナンバーカードに対応したICカードリーダライターが必要になります。

マイナンバーカードを利用して、在留申請オンライン手続きの利用者情報登録を行った場合、その有効期間は、マイナンバーカードの電子証明書の有効期間となります。また、利用者情報登録の有効期限を経過した後も在留申請オンライン手続きを利用する場合、電子証明書が記録されたマイナンバーカードで、改めて利用者情報登録を行う必要があります。

所属機関の職員の場合(利用申出)

所属機関の職員の方の場合には、事前準備として利用者情報登録ではなく,利用申出という手続きが必要になります。利用申出の手続きは、事前に地方出入国在留管理官署に来署、もしくは郵送で行う必要があります。

➡利用申出により取得できる認証IDは、所属機関の職員個人に対して付与されているため、他の職員が同じ認証IDを利用することはできません。そのため、認証IDを取得した担当職員が異動した場合などは、別の職員にて追加の利用申出を行う必要があります。

(1)対象所属機関の制限
・在留申請オンライン手続きを利用できる所属機関には制限があり、以下の要件をすべて満たしている必要があります。

(a)申請等取次者の承認要件を満たしていること
(b)外国人の受入れの開始・終了等の届出を行っていること
※外国人雇用状況の届出義務のある事業主については、同届出を行っていること
(c)誓約書の提出があること
(d)カテゴリー3またはカテゴリー4の機関においては、経営状況や財務状況等の観点から、安定的・継続的に事業が運営されていることが認められること

※また、利用申出を行う職員に関しても、申請等取次者証明書を有していること、または申請等取次者の承認要件を満たしているこという要件が満たしている必要があります。

・在留資格申請に関して分類される所属機関のカテゴリー(規模等)に関しては、下表をご確認ください。

区分 所属機関の要件
カテゴリー1 次のいずれかに該当する機関
(1)日本の証券取引所に上場している企業
(2)保険業を営む相互会社
(3)日本または外国の国・地方公共団体
(4)独立行政法人
(5)特殊法人・認可法人
(6)日本の国・地方公共団体認可の公益法人
(7)法人税法別表第1に掲げる公共法人
(8)高度専門職省令第1条第1項各号の表の特別加算の項の中欄イまたはロの対象企業(イノベーション創出企業)
(9)一定の条件を満たす企業等
カテゴリー2 次のいずれかに該当する機関
(1)前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表中、給与所得の源泉徴収合計表の源泉徴収税額が1,000万円以上である団体・個人
(2)在留申請オンラインシステムの利用申出の承認を受けている機関
カテゴリー3 前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出された団体・個人(カテゴリー2を除く)
カテゴリー4 上記のいずれにも該当しない団体・個人

(2)利用申出の有効期間
・利用申出の有効期間は、承認されたのち、パスワード設定等を行ってから1年間になります。有効期間経過後も、在留申請オンライン手続きを継続利用する場合には、利用申出の有効期間満了の1か月前までに定期報告を行う必要があります。この定期報告は、利用申出を行った地方出入国在留管理官署へ来署、または郵送にて行いますが、審査に2週間~1か月を要しますので、時間的に余裕を持って手続きを行うことをお勧めします。

行政書士等の場合(利用者情報登録)

行政書士が在留申請オンライン手続きを利用する場合には、申請人本人である外国人の場合と同様、利用者情報登録の手続きが必要になります。行政書士が利用者情報登録をするのに必要なものは、パソコンと届出済証明書のみになりますので、利用者情報登録の手続きは非常に簡単に行えます。

在留申請オンライン手続きの利用方法

事前手続きが完了し、認証IDが発行されれば、在留申請オンライン手続きの利用が可能になります。在留申請オンライン手続きは365日24時間、いつでも利用が可能です。ただし、在留期間満了日当日の申請は受け付けられませんので注意が必要です。

申請書以外の添付書類に関しても、オンラインで提出することが可能になりますが、申請時に添付できる書類はPDFファイル1つのみで、ファイルサイズは10MB以下という制限があります。申請時に全ての添付書類を提出できない場合は、後日オンラインで追加提出、または管轄の地方出入国在留管理官署宛てに郵送で提出することになります。

在留申請オンライン手続きが完了し、申請の審査が完了し、許可(交付)された場合、在留資格認定証明書もしくは在留カードを受領する必要があります。在留カードに関しては、窓口での交付、または郵送での交付のどちらかを選択します。在留資格認定証明書については、原則郵送で交付されることになります。

在留申請オンライン手続きの現状について

利用対象者が拡大した在留申請オンライン手続きですが、申請人本人である外国人の方が利用する場合、利用者情報登録が事前に必要になり、マイナンバーカードやICカードリーダライタ、公的個人認証サービスのクライアントソフトなどを準備する必要があるため、申請人ご本人が利用するには少しハードルが高いという印象です。

また、所属機関の職員の方が利用する場合も、対象となる所属機関に制限があり、かつ職員ごとに認証IDの発行が必要になるので、面倒な部分もあるかと思います。

当事務所では、在留申請オンライン手続きに対応しており、お客様のご負担を極力抑え、かつ迅速な申請手続きを行える体制を整えております。ビザ申請の手続きに関しましては、ぜひ当事務所までご相談ください。

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